軽井沢/アントニン・レーモンド建築探訪

三十数年ぶりの軽井沢への小旅行。
一日目にかなり歩き回ったので、
二日目はレーモンド建築に絞ってゆっくりと。
まずは、ホテルの近くにある軽井沢タリアセン。
軽井沢町の南に位置する塩沢湖を中心するエリアです。
http://www.karuizawataliesin.com

フランクロイドライトのタリアセンの名前を冠していますが、
それは関係ありませんでした。。。
美術館、遊戯施設、レストラン、ショップが
塩沢湖畔に点在して、広い園内をゆっくりと散策できます。
そこにあるペイネ美術館は、アントニン・レーモンド設計の
『軽井沢・夏の家』と呼ばれるアトリエ兼別荘を移築した建築です。
http://www.karuizawataliesin.com/look

緩勾配屋根、外壁の下見板張り、丸太柱や丸太母屋、
丸太タル木というレーモンド建築のアイコン満載です。
入口横には建設当時に屋根の上に載せられていた
カラマツの枝の再現があります。
雨音軽減と直射日光の輻射で室内温度が高くならない目的ですが、
さすがに、それを維持することが難しかったようです。

鉄筋コンクリート造なら分かるバタフライルーフですが、
木造で造るにはちょっと勇気がいります。
また1階から2階へは階段の代わりに
スロープにより登っていきます。。。
建築関係者以外で、これはコルビュジエ風と・・・と思った方。

実はこの原型は、ルコルビュジエのエラズリス邸計画案です。
そのため夏の家はコルビュジエの模倣と言われ
批判されたこともありますが、
コルビュジエ本人がこの建築をみて自分の作品集に載せるほど
評価しています。巨匠は巨匠を知る・・・ですね。

内部の写真は不可でしたが、やはりバタフライルーフの木造化は
その処理が屋根材のみに寄るため、
内部には雨漏りのシミが出て、壁板が交換されていましたが、
しっかりと補修されていました。
スロープで2階へ上がっていくと、
目線が隅々まで変化しながら眺められるので新鮮でした。


内部は、それぞれ個室がありますが、
それぞれに、低い丸太の片流れの小屋組と
木製格子ガラス窓と無双窓の板戸に包まれた
落ち着いた空間となっています。
レイモン・ペイネの美術館ですので、スケッチが展示されていますが、
建築と共に心地よく、良い時間を過ごせました。
http://www.karuizawataliesin.com/look/peynet

次に訪れたのは、1935年に設立された軽井沢聖パウロカトリック教会。
http://www.yokohama.catholic.jp/syokyoku_top/yb_parish_n04.html
外観の屋根の形状は独創的で大胆ですが、
全体の大きさは思ったよりもこぢんまりとしています。

正面は緩やかな下屋屋根の水平ライン上から
急勾配の切妻が立ち上がり、
縦長の格子窓と聖母像が持ち出された頂部
小さな寄棟の下に配されています。
丸太母屋の小口が保護のため白く塗られており
外壁の茶色とのコントラストが目に入ります。

木造トラスの屋根を支えている1階の壁は、
鉄筋コンクリート造ですが、改修工事で、
当初の型枠横板張り打放しの表情になっています。

内部のシザーストラス毎にある袖壁も
構造的な理に適っています。
内部に入ると、そのシザーストラスを構成する
丸太タイコ落としの部分がやじり模様に削られて
空間にアクセントとなっています。

片面はコンクリート壁上部の大梁で支えられていますが、
もう一方の面は太丸太柱と梁で構成されて、
奥に平屋の1列が増やされています。
この席に座ると、また違った角度から、
小屋組端部の切り替えが眺められて、
低い屋根組に囲まれた空間となっています。

教会には珍しく、正面のキリスト像背面からだけでなく、
側面の横長窓からも光が入り込み、
小屋組全体を柔らかい光が浮き上がらせています。

駐車場側に回り込みますと、
換気用の大きな塔屋が立ち上がり、
持ち上げた屋根とそこに回り込む下屋、
屋根頂部の棟部には小さな千木のような
交差した板が連続して、
正面とはまったく違う屋根デザインとなっていて、
各部に見所が満載でした。

ここに車で訪れるには道も狭く、
道歩く人も多く、結構大変でした。
私は平日の午後でしたが、それでもこの状況でしたし、
また、教会の駐車場は15分の時間制限もありますので
ご注意ください。
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・・・どうも、ありがとうございました。

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