信州カラマツ防火性能実験と木造建築の可能性。

昨日、東京都江東区にあります
(財)日本住宅・木材技術センターで、
信州カラマツの無垢板外壁の
防火性能実験がおこなわれました。

通常の防火構造の外壁では、準不燃処理のため
薬剤を注入して、燃えにくくした木材を使用しますが、
今回は、通常の信州カラマツ厚27の無垢板が
使われているところに、特筆すべき特徴があります。

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これは、外壁が燃え出しても
表面に炭化層が形成されて、それにより
火が燃えるための酸素の供給が阻まれていき、
外壁から内部に火が入っていかない、
つまり、外壁から内壁へ火災が延焼しないという実験。

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ご覧のように、外壁材は黒こげですが、
内部の合板にはまったく火が回っておりません。

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燃えていくのに・・・、とちょっと理解しにくいかと思いますが、
木造の火災現場で、構造躯体が燃え残っている写真を
皆さんもよく目にされると思います。
これは、木造の柱や梁の表面は燃えても、
真っ黒になった外部の炭(炭化層)を削っていくと
その内部には、燃えていない木の部分が残っているからです。

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木材の燃焼速度は、0.7mm/分と言われています。
火災にあって、建物を倒壊から守り、
人が避難するために30分以上躯体が燃え落ちないためには、
0.7mm/分×30分=21mm、安全率を見て25mmの木材が
構造的に必要な断面に対して加えられれば、
この梁は、30分以上持ちこたえることとなります。
これを燃え代設計といい、構造断面+αとして厚くするわけです。

構造的に120×210の寸法が必要な梁があるとします。
火災で崩れないためには、25+120+25=170mmの巾と
210+25=235mmのせい(高さ)
・・・上端は床に守られるために不要
つまり、170×325の梁で設計をすれば、
梁の周囲が燃えても、
構造に必要な断面の120×210が燃え残り、
結果として、人が避難する時間まで建物が倒壊しない。
これが、大断面木造建築の防火に対する考えとなっています。

この燃え城設計が、35mmで45分、
45mmで60分の準耐火構造として認められており、
現在、3階建て3000m2までの共同住宅が
木造で建設可能となっています。
最近では、さらに4階建ての耐火構造として
木造が認められつつあります。

米国では5階建てのコンドミニアム、
日本でいうマンションは、普通に木造で建設されます。
これは、シアトル近郊の木造コンドミニアム。

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また、7階建ても1~2階が鉄筋コンクリート造、
3~7階(5層)が木造という形式の建物が多いのです。
これもシアトル近郊の、その現場写真。
ちょっと信じられないかと思いますが、3~7階は木造です。

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これらの建物には、強化石膏ボードが幾重にも張られて、
木造を完全に保護し、床にはコンクリートが打たれています。

少々話が脱線しましたが、
木材の可能性を感じさせる防火実験でした。
残り、3体の試験体での防火実験が行われ、
国土交通省の評価委員会など、
まだまだ幾つかのハードルがありますが、
防火構造として認められる可能性があります。

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この記事へのコメント

2009年01月23日 13:09
無処理の木材が「防火構造として認められる」ほど燃えないのですか! ちょっとビックリしました。
水分の多い防火樹というのは聞いたことがありますが、木材なら乾燥させて使うはずですよね・・・ 
木質が密なんですか?
2009年01月23日 21:49
>彩季堂さん
文中の燃え代(しろ)設計、
燃えることで形成される
炭化層、つまり炭が
酸素の流入を防いでいき、
最後まで燃え切らないという
状態ができるからです。

粘り強い松系ということも
あるでしょうね。
しかし、問題はその途中で
燃えているという事実を
どう見るかでしょうか?
彩季堂
2009年01月25日 06:51
なるほど、不燃材ではないんですね
車のクラッシャブル ゾーンみたいですね

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